漢方薬の話

漢方薬イメージ

 医師になって何年か診療に従事する間に、大学で習った西洋医学だけでは限界があると感じるようになりました。その頃、身近に漢方に詳しい先輩医師がおられて、漢方に興味を持つようになり、勉強を始めました。

 たとえば、「からだがだるい。」、「疲れやすい。」という自覚症状があっても、検査しても何も異常がない患者さんがよくおられます。おそらく、その患者さんの環境や生活習慣、体質、気質など様々な要因が絡み合って症状が出ていると思われます。こういう場合、西洋薬には適当な薬がありません。また、西洋薬には「冷え症」に効く薬はありません。感冒もうまく使えば漢方薬の方が早く治ることがあります。

 もちろん漢方も万能ではありません。

 高血圧、糖尿病、喘息などは、近年、西洋薬の良い薬がいろいろ出てきていますし、軽症の場合を除いて、西洋薬による治療が不可欠と思います。また、細菌性肺炎などの細菌性の感染症には抗生物質が不可欠です。

 漢方薬は一般にその患者さんの「証」に合わせて選択します。「証」とは、簡単に言えば、体力があるかないかというようなその人の体質のようなものです。一般的に漢方薬は「証」に合った薬を選択しないと効果を発揮しません。また、漢方薬なら副作用がないというものではありませんが、「証」に合った使い方をすれば、重大な副作用は少ないと言われています。

 このように西洋薬と漢方薬には、それぞれの特長があります。当院では、西洋医学に主軸を置きながら、健康保険適用のあるエキス剤を用いて漢方薬の良い所も取り入れていきたいと思っています。

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